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須佐之男命

記事Sep.25th, 2020
須佐之男命は三貴子の一柱で、時には破壊神、時には英雄神と多彩な性格を有した神です。八岐大蛇を倒したことで知られます。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。

基本の情報

須佐之男命

須佐之男命は天照大御神と月読命とともに生まれた三貴子の一柱です。時には破壊神、時には英雄神と多彩な性格を有し、八岐大蛇を倒したことで知られます。

神名
須佐之男命すさのおのみこと
主な別名
建速須佐之男命たけはやすさのおのみこと
素戔男尊すさのおのみこと
素戔嗚尊すさのおのみこと
性別
男神
神話
古事記
日本書紀

神話

伊邪那岐命の禊と三貴子

黄泉国よみのくにから逃げ帰った伊邪那岐命いざなぎのみこと黄泉よみ穢れけがれを落とすため阿波岐原あわきはらみそぎを行いました。まず衣を脱ぐと12の神々が生まれました。次に上流は流れが速すぎて下流は流れが遅すぎると言って川の中流に潜って水を浴びて身を清めました。この時黄泉よみ穢れけがれから災厄を司る二柱の神が生まれ、そのまがを直す神も三柱生まれました。また、川の底、中ほど、表面で身を清め、綿津見三神わたつみのさんしん住吉三神すみよしさんしんが生まれました。

最後に伊邪那岐命いざなぎのみことが左目を洗うと天照大御神あまてらすおおみかみが、右目を洗うと月読命つくよみのみことが、鼻を洗うと須佐之男命すさのおのみことが生まれました。伊邪那岐命いざなぎのみことは最後に三柱の貴い子が得られたことを喜び、天照大御神あまてらすおおみかみに首飾りの玉の緒を渡して高天原たかまがはらの統治を任せ、月読命つくよみのみことには夜の食国よるのおすくにを、須佐之男命すさのおのみことには海原うなはらを治めるように言いました。この三柱の神は伊邪那岐命いざなぎのみことが生んだ子の中で最も貴いとされたことから三貴子みはしらのうずのみこと呼ます。

ところが須佐之男命すさのおのみことは泣き叫び、海は荒れ、木々は枯れ、悪霊が充満して天地に甚大な被害を与えました。伊邪那岐命いざなぎのみことが問いただすと母神の伊邪那美命いざなみのみことがいる根之堅洲国ねのかたすくにへ行きたいと言ったため、怒った伊邪那岐命いざなぎのみこと須佐之男命すさのおのみことを追放しました。

その後伊邪那岐命いざなぎのみことは淡路の多賀の幽宮かくりのみやに篭って隠居生活を送りました。

天照大御神と須佐之男命の誓約

伊邪那岐命いざなぎのみことに追放された須佐之男命すさのおのみことは最後に姉の天照大御神あまてらすおおみかみに会ってから根之堅洲国ねのかたすくにへ行こうと思い、高天原たかまがはらへ昇ります。すると山や川が荒れ、大地が震えたので、天照大御神あまてらすおおみかみ須佐之男命すさのおのみこと高天原たかまがはらに侵攻してきたと思い、武装して迎えます。須佐之男命すさのおのみことは疑いを晴らすために誓約うけいをしようと提案しました。

まず、天照大御神あまてらすおおみかみ須佐之男命すさのおのみこと十拳剣とつかのつるぎ天真名井あめのまないの水ですすいで噛み砕くと、吹き出した息の霧から三柱の女神、宗像三女神むなかたさんじょしんが生まれました。続いて須佐之男命すさのおのみこと天照大御神あまてらすおおみかみ勾玉まがたま天真名井あめのまないの水ですすいで噛み砕き、吹き出した息の霧からは五柱の男神が生まれました。

須佐之男命すさのおのみことは自らの十拳剣とつかのつるぎから生まれたのが穏やかな女神だったことから潔白が証明され、自分の勝ちだと宣言し、高天原たかまがはらに入る許しを得ます。

岩戸隠れ

須佐之男命すさのおのみこと高天原たかまがはらに入ることを許されましたが、勝ちに乗じてさまざまな狼藉を働きました。神々は天照大御神あまてらすおおみかみに苦情を言いますが、天照大御神あまてらすおおみかみは咎めず須佐之男命すさのおのみことを庇います。しかし、天照大御神あまてらすおおみかみが機屋で神御衣かむみそを織らせていたとき、須佐之男命すさのおのみことは機屋の屋根に穴をあけて、皮を剥いだ馬を落とし入れます。この混乱で一人の服織女に梭が刺さって死んでしまいました。

天照大御神あまてらすおおみかみはこれに心を痛め、天岩戸あまのいわとと呼ばれる洞窟に閉じこもってしまいます。太陽神である天照大御神あまてらすおおみかみを失った世界は闇に包まれ、神々は騒めき、 あらゆる災いが起こりました。困った神々は対応を相談します。

思金神おもいかねのかみの案によりさまざまな儀式が行われ、神々は天照大御神あまてらすおおみかみ天岩戸あまのいわとから引きずり出すことができました。そして、天照大御神あまてらすおおみかみが岩戸から出たことで世界は再び明るくなりました。

神々はこの事態を引き起こした須佐之男命すさのおのみことに所有する品々を納めさせ、髭と手足の爪を切って高天原たかまがはらから追放しました。

五穀の起源

高天原たかまがはらからの追放を言い渡された須佐之男命すさのおのみことは空腹だったので大気津比売神おおげつひめのかみに食べ物を求めました。大気津比売神おおげつひめのかみは様々な美味しい食べ物で須佐之男命すさのおのみことをもてなしました。

しかし、不審に思った須佐之男命すさのおのみこと大気津比売神おおげつひめのかみの様子をうかがっていると、それは大気津比売神おおげつひめのかみが鼻や口、尻から出した食材だったため、怒った須佐之男命すさのおのみこと大気津比売神おおげつひめのかみを殺してしまいました。

死んだ大気津比売神おおげつひめのかみの体からは五種類の穀物と蚕が生まれました。神産巣日神かむむすびのかみはそれらをとって種とし、これが五穀ごこくと養蚕の起源であるといわれています。

八岐大蛇退治

高天原たかまがはらから追放された須佐之男命すさのおのみこと出雲いずもへ降り立ちました。そこで川を箸が流れてきたので人がいると思って歩いていくと老夫婦の足名椎あしなづち手名椎てなづちが美しい娘の櫛名田比売くしなだひめを間に泣いていました。須佐之男命すさのおのみことがなぜ泣いているのか問うと足名椎あしなづちは、夫婦には8人の娘がいたが、年に一度8つの頭と8つの尻尾を持つ巨大な怪物の八岐大蛇やまたのおろちが娘を食べにやって来て、もうじき最後に残った末娘の櫛名田比売くしなだひめも食べられてしまうのだと答えました。

櫛名田比売くしなだひめが愛しくなった須佐之男命すさのおのみこと櫛名田比売くしなだひめとの結婚を条件に八岐大蛇やまたのおろちの退治を申し出て、夫婦はこれを受け入れました。須佐之男命すさのおのみこと櫛名田比売くしなだひめを櫛に変えて髪に挿しました。また、足名椎あしなづち手名椎てなづちに強い酒を造り、それを8つの酒桶に満たして置くように言いました。

そうしていると八岐大蛇やまたのおろちがやってきて、8つの酒桶にその8つの頭をそれぞれ入れて酒を飲み始めました。八岐大蛇やまたのおろちが酒に酔って眠ってしまうと須佐之男命すさのおのみこと十拳剣とつかのつるぎ八岐大蛇やまたのおろちを切り刻みました。この時八岐大蛇やまたのおろちの尾を切ると剣の刃が欠けたので、須佐之男命すさのおのみことが不思議に思って裂いてみると中から大刀が出てきました。

須佐之男命すさのおのみことはこの大刀を高天原たかまがはら天照大御神あまてらすおおみかみに献上しました。この大刀がのちに三種の神器となる天叢雲剣あめのむらくものつるぎです。

八雲立つ

八岐大蛇やまたのおろちを退治した須佐之男命すさのおのみことは宮を造る場所を求めて須賀すがへ来ると、この地に来て気分がすがすがしくなったと言いました。そしてこの地に櫛から元に戻した櫛名田比売くしなだひめと住むための宮殿を建てました。

宮殿を建てたときに雲が立ったので須佐之男命すさのおのみことは、八雲やくもが立ち上がる、出雲に立ち上がる八重垣のような雲だ。妻を籠らすため八重垣を作っているよ、そう八重垣を、と詠み、これが日本最古の和歌わかとされています。

須佐之男命すさのおのみこと櫛名田比売くしなだひめとの間に八嶋士奴美神やしまじぬみのかみを生みました。また、神大市比売かむおおいちひめとの間に大年神おおとしのかみ宇迦之御魂神うかのみたまのかみを生みました。そして須佐之男命の六世の孫が大国主神おおくにぬしのかみです。

大穴牟遅神の来訪

兄弟の八十神やそがみから逃げる大穴牟遅神おおなむちのかみ根之堅洲国ねのかたすのくににいる須佐之男命すさのおのみことの家まで逃げてきます。そこで大穴牟遅神おおなむちのかみ須佐之男命すさのおのみことの娘である須勢理毗売命すせりびめのみことと出会い、二柱はすぐに惹かれ合って心が通じ合いました。須勢理毗売命すせりびめのみことが、立派な神が来られましたと大穴牟遅神おおなむちのかみ須佐之男命すさのおのみことに紹介すると、須佐之男命すさのおのみことは、あれは葦原色許男あしはらしこをだと言いました。

須佐之男命すさのおのみこと大穴牟遅神おおなむちのかみを家に入れましたが、蛇のむろやで寝るように命じました。須勢理毗売命すせりびめのみこと大穴牟遅神おおなむちのかみに蛇の比礼ひれを授け、蛇に襲われたらこの比礼ひれを三度振るように教えました。言われた通りにした大穴牟遅神おおなむちのかみは無事一晩を過ごすことができました。次の晩も須佐之男命すさのおのみこと大穴牟遅神おおなむちのかみ呉公むかでと蜂がいるむろやで寝るように命じましたが、同様に須勢理毗売命すせりびめのみことに授けられた呉公むかでと蜂の比礼ひれのおかげで無事に一晩過ごしました。

すると須佐之男命すさのおのみことは広い野原へ鳴鏑なりかぶらを打ち込み、大穴牟遅神おおなむちのかみに拾ってくるように命じました。大穴牟遅神おおなむちのかみが野原に入ると須佐之男命すさのおのみことは火を放って炎で囲みました。大穴牟遅神おおなむちのかみはそこに現れた鼠に助けられて地面の中に空いていた穴を見つけることができ、その中で火をやり過ごすことができました。さらにその鼠は須佐之男命すさのおのみことが放った鳴鏑なりかぶらも持ってきました。須佐之男命すさのおのみこと大穴牟遅神おおなむちのかみがもう死んだと思って野原を見に行くと大穴牟遅神おおなむちのかみが生きているのを見つけました。

須佐之男命すさのおのみこと大穴牟遅神おおなむちのかみを家に入れ、大きな部屋へ招き入れました。そして今度は自分の頭のしらみを取るように命じました。ところが、頭にいたのはたくさんの呉公むかででした。そこで大穴牟遅神おおなむちのかみ須勢理毗売命すせりびめのみことから授けられた牟久むくの実を噛み砕き、赤土を口に含んで吐き出しました。これを呉公むかでを噛み砕いているのだと勘違いした須佐之男命すさのおのみことはかわいい奴だと思ってそのまま寝入ってしまいました。

大穴牟遅神おおなむちのかみはこの隙に逃げようと須佐之男命すさのおのみことの髪をその部屋のたるきに結び付け、五百引岩いほびきのいわで部屋の扉を塞ぎました。そして須勢理毗売命すせりびめのみことを背負うと須佐之男命すさのおのみこと生大刀いくたち生弓いくゆみ、と天詔琴あめののりごとをくすねて逃げました。ところが天詔琴あめののりごとが木に触れて地が鳴動し、須佐之男命すさのおのみことが目を覚ましてしまいました。ただ、須佐之男命すさのおのみことが髪をほどいている間に大穴牟遅神おおなむちのかみは逃げることができました。

須佐之男命すさのおのみこと大穴牟遅神おおなむちのかみ黄泉比良坂よもつひらさかまで追いましたがそこで追いかけるのをやめて叫びました。その生大刀いくたち生弓いくゆみで兄弟を追い払って大国主おおくにぬしとなり、須勢理毗売命すせりびめのみことを正妻として宇迦の山うかのやまの麓に宮殿を建てて住めこの野郎め、と告げました。

大穴牟遅神おおなむちのかみ生大刀いくたち生弓いくゆみを使って八十神やそがみを追い払い、大国主神おおくにぬしのかみとなりました。

あれこれ

祇園信仰

祇園信仰は須佐之男命と牛頭天王に対する神仏習合の信仰です。牛頭天王は陰陽師などによって伝えられた起源不詳の神で、天竺の祇園精舎の守護神とされています。牛頭天王は疫病や災いをもたらす行疫神と信じられ、丁重に祀って鎮めれば災厄を免れることができると信じられるようになりました。この過程で高天原を追放された荒ぶる神である須佐之男命と同一視されるようになりました。祇園信仰は平安時代の御霊信仰を背景に現在の八坂神社である感神院祇園社を中心に各地へ広がりました。

しかし、明治の神仏分離で神社で仏教的な祭祀を行うことが禁じられ、仏教色の強い牛頭天王を神社で祀ることができなくなったため、祇園社や牛頭天王社の多くは仏教色を廃して祭神を須佐之男命に改めました。

氷川信仰

氷川信仰はさいたま市の氷川神社を総本社として関東地方で見られる須佐之男命に対する信仰です。氷川神社の創始については不明確ですが、孝昭天皇3年に出雲から分霊を勧請したことに由来するとされます。氷川神社の一帯は出雲から移り住んだ出雲族が開拓したといわれ、「氷川」も出雲の簸川ひかわにちなんでいるとされています。

また、一説には氷川神は江戸時代まで現在のさいたま市に存在した巨大な沼である見沼の水神であり、のちにそれが須佐之男命に対する信仰と融合して現在の氷川信仰となったともされます。

関連項目

祀る神社

以下は須佐之男命を主祭神として祀る主な神社です。

須佐神社
須佐之男命の本宮とされる。島根県出雲市に鎮座。
須佐之男命を祀る。
氷川神社
埼玉県さいたま市に鎮座。
須佐之男命、奇稲田姫命、大己貴命を祀る。
八坂神社
京都府京都市に鎮座。
素戔嗚尊、櫛稲田姫命、八島篠見神、五十猛神、大屋比売神、抓津比売神、大年神、宇迦之御魂神、大屋毘古神、須勢理毘売命を祀る。
金鑚神社
埼玉県児玉郡神川町に鎮座。
天照大神と素戔嗚尊を祀る。
劔神社
福井県丹生郡越前町に鎮座。
素盞嗚尊を祀る。
津島神社
愛知県津島市に鎮座。
建速須佐之男命を祀る。
沼名前神社
広島県福山市に鎮座。
大綿津見命、須佐之男命を祀る。
日御碕神社
島根県出雲市に鎮座。
天照大御神、素盞嗚尊を祀る。
佐太神社
島根県松江市に鎮座。
佐太御子大神、天照大神、素盞嗚尊を祀る。
常陸國總社宮
茨城県石岡市に鎮座。
伊弉諾尊、大国主尊、素戔嗚尊、瓊々杵尊、大宮比売尊、布留大神を祀る。
須我神社
島根県雲南市に鎮座。
須佐之男命、稲田比売命、清之湯山主三名狭漏彦八島野命を祀る。
八重垣神社
島根県松江市に鎮座。
素盞嗚尊、櫛稲田姫、大己貴命、青幡佐久佐日古命を祀る。

須佐之男命は古くから各地に分霊が祀られ、全国の祇園神社、八坂神社、須賀神社、氷川神社などで祀られています。

関係する神様

伊邪那岐命
三貴子は伊邪那岐命の禊の時に生まれた。
伊邪那美命
日本書紀では伊邪那美命を須佐之男命の母とする。
櫛名田比売
須佐之男命の正妻。
神大市比売
須佐之男命の妻。
天照大御神
須佐之男命の姉。伊邪那岐命の禊の時に生まれた三貴子の一柱。
月読命
須佐之男命の兄。伊邪那岐命の禊の時に生まれた三貴子の一柱。
多紀理毘売命
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
市寸島比売命
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
多岐都比売命
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
天忍穗耳尊
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
天穂日命
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
天津彦根命
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
活津彦根命
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
熊野櫲樟日命
天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた五男三女神の一柱。
大年神
須佐之男命と神大市比売の子。
宇迦之御魂神
須佐之男命と神大市比売の子。
須勢理毘売命
須佐之男命の娘。大国主神の妻。
大国主神
須佐之男命の六世の孫。日本書紀では須佐之男命と奇稲田姫の子。
史料によって解釈が異なる場合があります。
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