日本書記の“五穀の起源”
日本書記にはこの須佐之男命と大気津比売神の出来事についての記述はありませんが、代わりに月読命と保食神の似た出来事が記述されています。
物語
月読尊は天照大神の遣いとして葦原中国にいる保食神を見に行くように命じられました。
月読尊が保食神のもとを訪れると保食神は陸の方を向いて口からご飯を吐き出し、海の方を向いて口から魚を吐き出し、山の方を向いて口から獣を吐き出し、それらで月読尊をもてなしました。
しかし、月読尊は汚いと怒って保食神を斬ってしまいました。天照大神はこのことを知ると激怒して、月読尊はもう顔も見たくないと言い、これ以降太陽と月は昼と夜に別れて出るようになりました。
天照大神が今度は天熊人を遣わすと保食神は死んでいました。死んだ保食神からは頭からは牛馬、額からは粟、眉からは蚕、目からは稗、腹からは稲、陰部からは麦と大豆と小豆が生まれ、天熊人はそれらを持ち帰りました。天照大神はこれを喜び、顯見蒼生の食料としようと言って田畑に種を蒔きました。
用語
- 月読尊
- 三貴子の一柱。月の神。
- 保食神
- 穀物や食物の神。稲荷神と同一視される場合がある。
- 天熊人
- 保食神への二人目の使者。
- 葦原中国
- 高天原と黄泉国の間にある地上の世界。
- 顯見蒼生
- 地上の民のこと。