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八雲立つ

記事Oct.26th, 2020
ヤマタノオロチを倒した須佐之男命が出雲に宮を造る話。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。

物語

八雲立つ

八岐大蛇やまたのおろちを退治した須佐之男命すさのおのみことは宮を造る場所を求めて須賀すがへ来ると、この地に来て気分がすがすがしくなったと言いました。そしてこの地に宮殿を造り、櫛から元に戻した櫛名田比売くしなだひめを妻としてそこで暮らしました。

宮殿を建てたときに雲が立ったので須佐之男命すさのおのみことは、八雲やくもが立ち上がる、出雲に立ち上がる八重垣のような雲だ。妻を籠らすため八重垣を作っているよ、そう八重垣を、と詠み、これが日本最古の和歌わかとされています。

また、須佐之男命すさのおのみこと足名椎あしなづちを呼び寄せると宮殿の長に任じて稲田宮主須賀之八耳神いなだのみやぬしすがのやつみみのかみの名を与えました。

須佐之男命の子孫

須佐之男命すさのおのみこと櫛名田比売くしなだひめとの間に八嶋士奴美神やしまじぬみのかみを生みました。また、大山津見神おおやまつみのかみの娘の神大市比売かむおおいちひめを娶り、神大市比売かむおおいちひめとの間に大年神おおとしのかみ宇迦之御魂神うかのみたまのかみを生みました。

八嶋士奴美神やしまじぬみのかみ大山津見神おおやまつみのかみの娘の木花知流比売このはなちるひめを娶り、木花知流比売このはなちるひめとの間に布波能母遅久奴須奴神ふはのもぢくぬすぬのかみを生みました。

布波能母遅久奴須奴神ふはのもぢくぬすぬのかみ淤迦美神おかみのかみの娘の日河比売ひかわひめを娶り、日河比売ひかわひめとの間に深淵之水夜礼花神ふかふちのみずやれはなのかみを生みました。

深淵之水夜礼花神ふかふちのみずやれはなのかみ天之都度閇知泥神あめのつどへちねのかみを娶り、天之都度閇知泥神あめのつどへちねのかみとの間に淤美豆奴神おみづぬのかみを生みました。

淤美豆奴神おみづぬのかみ布怒豆怒神ふのづののかみの娘の布帝耳神ふてみみのかみを娶り、布帝耳神ふてみみのかみとの間に天之冬衣神あめのふゆきぬのかみを生みました。

そして、天之冬衣神あめのふゆきぬのかみ刺国大神さしくにおおのかみの娘の刺国若比売さしくにわかひめを娶り、刺国若比売さしくにわかひめとの間に大国主神おおくにぬしのかみを生みました。大国主神おおくにぬしのかみ大穴牟遅神おおなむちのかみ葦原色許男神あしはらしこおのかみ宇都志国玉神うつしくにたまのかみ八千矛神やちほこのかみの5つの名があります。

用語

登場する神様

須佐之男命すさのおのみこと
八岐大蛇を倒した。
櫛名田比売くしなだひめ
八岐大蛇に食べられようとしている美しい娘。須佐之男命の妻となる。農耕の神。
足名椎あしなづち
櫛名田比売の父。大山津見神の子。

須佐之男命の妻と子

神大市比売かむおおいちひめ
市場の神、食物の神。大山津見神の子。須佐之男命の妻。
八嶋士奴美神やしまじぬみのかみ
国土の神。須佐之男命と櫛名田比売の子。
大年神おおとしのかみ
須佐之男命と神大市比売の子。穀物の神。元旦に家々に新年をもたらす神としても信仰される。
宇迦之御魂神うかのみたまのかみ
須佐之男命と神大市比売の子。穀物の神。稲荷神として広く信仰されている。

須佐之男命の子孫

布波能母遅久奴須奴神ふはのもぢくぬすぬのかみ
国土の神。八嶋士奴美神と木花知流比売の子。
深淵之水夜礼花神ふかふちのみずやれはなのかみ
水の神。布波能母遅久奴須奴神と日河比売の子。
淤美豆奴神おみづぬのかみ
水の神。深淵之水夜礼花神と天之都度閇知泥神の子。
天之冬衣神あめのふゆきぬのかみ
衣類の神。淤美豆奴神と布帝耳神の子。
大国主神おおくにぬしのかみ
天之冬衣神と刺国若比売の子。のちに葦原中国の国造りを行う。日本書紀では奇稲田姫との間の子としている。

他の神

木花知流比売このはなちるひめ
大山津見神の子。八嶋士奴美神の妻。
大山津見神おおやまつみのかみ
伊邪那岐命と伊邪那美命が生んだ山の神。
日河比売ひかわひめ
水の神。淤迦美神の子。布波能母遅久奴須奴神の妻。
淤迦美神おかみのかみ
日河比売の父。水の神。神生みで伊邪那岐命が火之迦具土神を斬ったときに生まれた闇淤加美神と同一視される。
天之都度閇知泥神あめのつどへちねのかみ
水の神。深淵之水夜礼花神の妻。
布帝耳神ふてみみのかみ
衣類の神。布怒豆怒神の子。淤美豆奴神の妻。
布怒豆怒神ふのづののかみ
布帝耳神の父。衣類の神。
刺国若比売さしくにわかひめ
国土の神。刺国大神の子。天之冬衣神の妻。
刺国大神さしくにおおのかみ
刺国若比売の父。詳しい記述はない。

登場する場所

須賀すが
現在の島根県雲南市の須我神社がある地とされる。

他の用語

八雲やくも
幾重にも重なり合った雲。
和歌わか
五七五七七と句を連ねる伝統的な詩。

あれこれ

須佐之男命の和歌

夜久毛多都 伊豆毛夜弊賀岐。都麻碁微尒 夜弊賀岐都久流。曽能夜弊賀岐袁。

『古事記』(原文)

八雲やくもつ  出雲いづも八重垣やへがき  つまごみに  八重垣やへがきつくる  その八重垣やへがき

『古事記』(書き下し文)
史料によって解釈が異なる場合があります。
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