国譲り
大国主神の国造りの後、天照大御神は葦原中国は自らの子である天忍穂耳命が治めるべきであると言って葦原中国へ降りるように命じました。天忍穂耳命は天浮橋へ行きましたが、そこから下を覗いて下界の物騒な様子を見て引き返しました。そして天照大御神に相談しました。
高御産巣日神と天照大御神は天の安河の川原に神々を集めて思金神に策を考えさせました。思金神と神々が相談した結果、天之菩卑能命を派遣することにしました。天之菩卑能命は葦原中国へ降りましたが、大国主神に懐柔されてしまい、帰ってきませんでした。
再び高御産巣日神と天照大御神は神々を集め、天若日子を派遣することのしました。天若日子は天之麻迦古弓と天之羽々矢を授けられて派遣されましたが、大国主神の娘の下照比売と結婚し、自らが葦原中国を治めようと企んで帰ってきませんでした。天照大御神と高御産巣日神は雉の鳴女を送って天若日子がなぜ戻らないのか問いただすことにしました。
鳴女は葦原中国へ降りると天照大御神の言葉を伝えましたが、天佐具売がこの鳥の鳴き声は不吉だから射殺すべきだと言ったので天若日子は天之麻迦古弓と天之羽々矢で鳴女を射殺しました。
鳴女を射貫いた矢は高天原の天照大御神と高御産巣日神のもとへ届きました。高御産巣日神は矢を取ると、天若日子が命に背いておらず、悪い神の射た矢が飛んで来たのであればこの矢は天若日子に当たらず、もし天若日子に邪心があればこの矢は天若日子に当たるだろうと言って矢を下界へ落としました。すると矢は天若日子に当たり、天若日子は死んでしまいました。
天照大御神が再びどの神を派遣したら良いか問うと、思金神は天尾羽張神、もしくはその子の建御雷之男神を派遣するべきと言ったのでそこへ天迦久神を遣わしました。天尾羽張神は我が子の建御雷之男神を派遣した方が良いと言いって天鳥船神とともに派遣しました。
建御雷之男神と天鳥船神は出雲国の伊那佐の小浜へ降臨しました。建御雷之男神は十拳剣を波打ち際に逆さに突き立てるとその切先にあぐらをかいて座りました。そして建御雷之男神は大国主神に、天照大御神と高御産巣日神の命で遣わされたのだと言い、葦原中国は天照大御神の子が治めるべきであると仰せられているがそれについてどう思うかと問いました。
大国主神は自分は答えることはできないので、息子の八重事代主神に尋ねるように言いました。八重事代主神は鳥や魚を捕りに行っていましたが、天鳥船神に連れ戻されて建御雷之男神が国譲りを迫ると八重事代主神は承諾しました。
すると大国主神は建御名方神に聞くように言い、これが最後だと言いました。
そうしていると建御名方神がやって来て力比べを提案しました。しかし、建御名方神は建御雷之男神に一捻りにされて服従しました。
建御雷之男神は大国主神に問うと、大国主神は子達が言った通り葦原中国を献上すると答えました。こうして建御雷之男神は葦原中国を平定して高天原へ戻りました。