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禊と三貴子の誕生

記事Oct.22nd, 2020
伊邪那岐命が黄泉の穢れを落とし、三貴子が生まれる話。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。

物語

黄泉国よみのくにから逃げ帰った伊邪那岐命いざなぎのみこと黄泉よみ穢れけがれを落とすために竺紫つくし日向ひむかたちばな小門おど阿波岐原あわきはらみそぎを行いました。

衣を脱ぐと伊邪那岐命いざなぎのみことが身に着けていたものから12の神々が生まれました。衝立船戸神つきたつふなとのかみが杖から、道之長乳歯神みちのながちはのかみが帯から、時量師神ときはかしのかみが袋から、和豆良比能宇斯能神わづらひのうしのかみが衣から、道俣神ちまたのかみが袴から、飽咋之宇斯能神あきぐいのうしのかみが冠から、奥疎神おきざかるのかみ奥津那芸佐毘古神おきつなぎさびこのかみ奥津甲斐弁羅神おきつかいべらのかみが左手の手纏たまきから、辺疎神へざかるのかみ辺津那芸佐毘古神へつなぎさびこのかみ辺津甲斐弁羅神へつかいべらのかみが右手の手纏たまきから生まれました。

次に伊邪那岐命いざなぎのみことは上流は流れが速すぎて下流は流れが遅すぎると言って川の中流に潜って水を浴びて身を清めました。この時黄泉よみ穢れけがれから災厄を司る二柱の神、八十禍津日神やそまがつひのかみ大禍津日神おおまがつひのかみが生まれ、そのまがを直す三柱の神、神直毘神かみなおびのかみ大直毘神おおなおびのかみ伊豆能売いづのめも生まれました。さらに川の底で身を清めると底筒之男神そこつつのおのかみ底津綿津見神そこつわたつみのかみが、川の中ほどで身を清めると中筒之男神なかつつのおのかみ中津綿津見神なかつわたつみのかみが、川の水面で身を清めると上筒之男神うわつつのおのかみ上津綿津見神うわつわたつみのかみが生まれました。

三柱の綿津見神わたつみのかみはその子の宇都志日金析命うつしひかなさくのみことの子孫である阿曇連あづみのむらじが祖神として崇める神です。底筒之男神そこつつのおのかみ中筒之男神なかつつのおのかみ上筒之男神うわつつのおのかみの三柱の神は墨江之三前大神すみのえのみまえのおおかみです。

三貴子の誕生

最後に伊邪那岐命いざなぎのみことが左目を洗うと天照大御神あまてらすおおみかみが、右目を洗うと月読命つくよみのみことが、鼻を洗うと須佐之男命すさのおのみことが生まれました。これをもって神生みかみうみが終わり、最後に三柱の貴い子が得られたことを喜び、伊邪那岐命いざなぎのみこと天照大御神あまてらすおおみかみに首飾りの玉の緒、御倉板挙之神を授けて高天原たかまがはらを治めるように言いました。さらに月読命つくよみのみことには夜の食国よるのおすくにを、須佐之男命すさのおのみことには海原うなはらを治めるように言いました。この三柱の神は伊邪那岐命いざなぎのみことが生んだ子の中で最も貴いとされたことから三貴子みはしらのうずのみこと呼ます。

天照大御神あまてらすおおみかみ月読命つくよみのみこと伊邪那岐命いざなぎのみことの言ったとおりにしました。ところが須佐之男命すさのおのみことは言われたとおりにせず、髭が胸にとどくまで泣き叫び続けました。

海は荒れ、木々は枯れ、悪霊が充満して天地に甚大な被害を与えたので、伊邪那岐命いざなぎのみこと須佐之男命すさのおのみことに問いただすと、母神の伊邪那美命いざなみのみことがいる根之堅洲国ねのかたすくにへ行きたいと言ったため、怒った伊邪那岐命いざなぎのみことはこの国に住んではならないと言って須佐之男命すさのおのみことを追放しました。

その後伊邪那岐命いざなぎのみこと淡海おうみ多賀たがに鎮座します。

用語

登場する神様

伊邪那岐命いざなぎのみこと
伊邪那美命とともに日本の国土を生んだ神。伊邪那美命の兄。
伊邪那美命いざなみのみこと
伊邪那岐命の妹。死んでしまい、黄泉国の主宰神となる。

伊邪那岐命が脱いだ衣から生まれた神

衝立船戸神つきたつふなとのかみ
杖から生まれた神。邪悪なものを防ぐ道祖神。
道之長乳歯神みちのながちはのかみ
帯から生まれた神。道中の安全を守護する岩の神。
時量師神ときはかしのかみ
袋から生まれた神。時間の神。
和豆良比能宇斯能神わづらひのうしのかみ
衣から生まれた神。煩いの神。
道俣神ちまたのかみ
袴から生まれた神。分かれ道の神。
飽咋之宇斯能神あきぐいのうしのかみ
冠から生まれた神。穢れを喰う神。
奥疎神おきざかるのかみ
左手の手纏から生まれた神。沖の神。
奥津那芸佐毘古神おきつなぎさびこのかみ
左手の手纏から生まれた神。渚の神。
奥津甲斐弁羅神おきつかいべらのかみ
左手の手纏から生まれた神。沖と渚の間の神
辺疎神へざかるのかみ
右手の手纏から生まれた神。沖の神。
辺津那芸佐毘古神へつなぎさびこのかみ
右手の手纏から生まれた神。渚の神。
辺津甲斐弁羅神へつかいべらのかみ
右手の手纏から生まれた神。沖と渚の間の神

川の中で生まれた神

住吉三神
底筒之男神そこつつのおのかみ
川の底で生まれた神。航海を守護する神。
中筒之男神なかつつのおのかみ
川の中ほどで生まれた神。航海を守護する神。
上筒之男神うわつつのおのかみ
川の水面で生まれた神。航海を守護する神。
綿津見三神
底津綿津見神そこつわたつみのかみ
川の底で生まれた神。海の神。
中津綿津見神なかつわたつみのかみ
川の中ほどで生まれた神。海の神。
上津綿津見神うわつわたつみのかみ
川の水面で生まれた神。海の神。
他の神
八十禍津日神やそまがつひのかみ
黄泉の穢れから生まれた神。わざわいの神。
大禍津日神おおまがつひのかみ
黄泉の穢れから生まれた神。凶事の神。
神直毘神かみなおびのかみ
禍を治す神。凶事を吉事に変える神。
大直毘神おおなおびのかみ
禍を治す神。凶事を吉事に変える神。
伊豆能売いづのめ
禍を治す神。清めの神
宇都志日金析命うつしひかなさくのみこと
綿津見神の子。海の神。
御倉板拳之神みくらたなのかみ
伊邪那岐命が天照大御神に授けた首飾りの玉の緒。

三貴子

天照大御神あまてらすおおみかみ
最も貴い三柱の子の一柱。太陽の神。高天原の主宰神。
月読命つくよみのみこと
最も貴い三柱の子の一柱。月の神。
須佐之男命すさのおのみこと
最も貴い三柱の子の一柱。荒ぶる神。

登場する場所

黄泉国よみのくに
死者の国。
竺紫つくし日向ひむかたちばな小門おど阿波岐原あわきはら
伊耶那岐命が黄泉国の穢れを落とすために禊を行った場所。宮崎市の阿波岐原とする伝承がある。
高天原たかまがはら
神々が住む天上界。
夜の食国よるのおすくに
夜の国。黄泉国よみのくにのこととする見方もある。
海原うなはら
海の国。
根之堅洲国ねのかたすくに
根の国とも。黄泉国と同じく地下にある世界で黄泉比良坂で地上世界とつながっている。
淡海おうみ
日本書紀では淡路とあるのでその誤記とみられる。ただし、近江とする説もある。

登場する道具

手纏たまき
玉に紐を通して手に巻いたもの。

他の用語

穢れけがれ
不浄。死と接することによってもたらされるとされる。
みそぎ
穢れを落とすための儀式。
綿津見神わたつみのかみ
底津綿津見神、中津綿津見神、上津綿津見神の三柱の神。綿津見三神わたつみさんしんとも。
阿曇連あづみのむらじ
九州北部を本拠地としていた海洋豪族の阿曇氏。
墨江之三前大神すみのえのみまえのおおかみ
住吉大社に祀られる住吉三神、底筒之男神、中筒之男神と上筒之男神。住吉大社がある地は昔墨江と呼ばれた。
神生みかみうみ
神生みとも。伊邪那岐命と伊邪那美命が森羅万象の神々を生んだこと。
史料によって解釈が異なる場合があります。
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