このウェブサイトはご利用の端末での閲覧に対応していません。
This website does not support your device.

黄泉国訪問

記事Oct.22nd, 2020
伊邪那岐命が伊邪那美命を取り戻すために黄泉国を訪れる話。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。

物語

黄泉国訪問

伊邪那岐命いざなぎのみこと伊邪那美命いざなみのみことを取り戻そうと黄泉比良坂よもつひらさかを通って黄泉国よみのくにへ行きます。黄泉国よみのくにに着いた伊邪那岐命いざなぎのみこと黄泉国よみのくにの御殿にいる伊邪那美命いざなみのみことに扉越しに、一緒に創った国土がまだ完成していないので帰ろうと呼びかけました。これに対して伊邪那美命いざなみのみこと黄泉国よみのくにの食べ物を食べて黄泉よみの住人になってしまったので帰れないと答え、さらに黄泉神よもつかみと相談しに行くので自らの姿を見ないように求めました。

しかし、伊邪那美命いざなみのみことがなかなか戻ってこないため、待ちきれなくなった伊邪那岐命いざなぎのみことは髪につけていた櫛の端の歯を折って、それに火を灯して中に入ってしまいました。そこで見た伊邪那美命いざなみのみことは醜く腐り、八柱の雷神、大雷おほいかづち火雷ほのいかづち黒雷くろいかづち折雷さくいかづち若雷わかいかづち土雷つちいかづち鳴雷なるいかづち伏雷ふすいかづちが纏わりついていました。

その姿を見た伊邪那岐命いざなぎのみことは逃げ出してしまい、これに怒った伊邪那美命いざなみのみこと黄泉醜女よもつしこめを使って追いかけました。伊邪那岐命いざなぎのみことが投げた黒御縵くろみかずらの髪飾りを投げ捨てるとそこからブドウが生え、黄泉醜女よもつしこめがそれに夢中になっている間に逃げました。しかし、なおも黄泉醜女よもつしこめが追ってくるので右の角髪みずらに差していた湯津津間櫛ゆつつなくしを投げ捨て、そこから生えたタケノコに黄泉醜女よもつしこめが夢中になっている間に逃げました。

伊邪那美命いざなみのみことは自らに纏わりついた八柱の雷神と1500の黄泉軍よもついくさを送り込みますが、伊邪那岐命いざなぎのみこと十拳剣とつかのつるぎを振りながら黄泉比良坂よもつひらさかのふもとまで逃げ延びました。伊邪那岐命いざなぎのみことがそこあった桃の木から実を取って投げつけたところ雷神と黄泉軍よもついくさは退散しました。ここで伊邪那岐命いざなぎのみことは桃に、もし同じように苦しんでいる人がいたら助けてくれと命じ、意富加牟豆美命おおかむづみのみことと名づけました。

最後は伊邪那美命いざなみのみことが自ら追ってきますが、伊邪那岐命いざなぎのみこと千引岩ちびきのいわ黄泉比良坂よもつひらさかを塞ぎました。閉ざされて怒った伊邪那美命いざなみのみことはこれから一日に1000人ずつ人間を殺そうと言いました。 これに対して伊邪那岐命いざなぎのみことはそれなら人間が滅びぬよう一日に1500人生ませようと返し、離縁しました。こうして人は一日に1000人死に、1500人生まれるようになりました。

その後伊邪那美命いざなみのみこと黄泉よみの主宰神、黄泉津大神よもつおおかみとなりました。また、伊邪那岐命いざなぎのみことに追いついたことから道敷大神みちしきのおおかみとも呼ばれます。

黄泉比良坂よもつひらさかを塞いだ岩は道返之大神みちがえしのおおかみ、もしくは黄泉戸大神よもつとのおおかみと名づけられました。そして、黄泉比良坂よもつひらさかとは出雲国いずものくに伊賦夜坂いふやさかのことです。

用語

登場する神様

伊邪那岐命いざなぎのみこと
伊邪那美命とともに日本の国土を生んだ神。伊邪那美命の兄であり夫。
伊邪那美命いざなみのみこと
伊邪那岐命とともに日本の国土を生んだ神。伊邪那岐命の妹であり妻。

八雷神

大雷おほいかづち
伊邪那美命の頭部に憑いた雷神。
火雷ほのいかづち
伊邪那美命の胸部に憑いた雷神。
黒雷くろいかづち
伊邪那美命の腹部に憑いた雷神。
折雷さくいかづち
伊邪那美命の陰部に憑いた雷神。
若雷わかいかづち
伊邪那美命の左腕に憑いた雷神。
土雷つちいかづち
伊邪那美命の右腕に憑いた雷神。
鳴雷なるいかづち
伊邪那美命の左脚に憑いた雷神。
伏雷ふすいかづち
伊邪那美命の右脚に憑いた雷神。

他の神

黄泉神よもつかみ
黄泉国の神。詳しい描写はないが元の黄泉の主宰神とされる。
意富加牟豆美命おおかむづみのみこと
黄泉軍を祓った桃の実。
道返之大神みちがえしのおおかみ
黄泉戸大神よもつとのおおかみとも。黄泉比良坂を塞ぐ岩。

登場する場所

黄泉国よみのくに
死者の国。
黄泉比良坂よもつひらさか
黄泉国へ通じる坂。松江市にある伊賦夜坂いふやさかのこととされる。
出雲国いずものくに
現在の島根県東部。

登場する道具

湯津津間櫛ゆつつなくし
髪に差す櫛の一種。邪気を払う呪力があるとされる。
十拳剣とつかのつるぎ
10束の長さの剣。1束はこぶし一つ分の長さ。ここでは天之尾羽張あめのおはばりという名の伊邪那岐命の神剣。

他の用語

黒御縵くろみかずら
蔓草の一種。
角髪みずら
髪を左右に分けて耳の横でそれぞれ括って垂らす古代の髪型。
黄泉醜女よもつしこめ
一飛びで千里走れるとされる黄泉の鬼女。
黄泉軍よもついくさ
黄泉国に棲む鬼の軍勢。
もも
桃には邪気を払う呪力があると信じられていた。
千引岩ちびきのいわ
1000人がかりでないと動かない巨石。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。
一番上へ
トップにもどる
シェアする
シェアする
Facebookでシェアする
ツイート
Google+でシェア
Pocket
はてなブックマーク