禊と三貴子の誕生
黄泉国から逃げ帰った伊邪那岐命は黄泉の穢れを落とすため阿波岐原で禊を行いました。まず衣を脱ぐと12の神々が生まれました。次に上流は流れが速すぎて下流は流れが遅すぎると言って川の中流に潜って水を浴びて身を清めました。この時黄泉の穢れから災厄を司る二柱の神が生まれ、その禍を直す神も三柱生まれました。また、川の底、中ほど、表面で身を清め、綿津見三神と住吉三神が生まれました。
最後に伊邪那岐命が左目を洗うと天照大御神が、右目を洗うと月読命が、鼻を洗うと須佐之男命が生まれました。伊邪那岐命は最後に三柱の貴い子が得られたことを喜び、天照大御神に首飾りの玉の緒を渡して高天原の統治を任せ、月読命には夜の食国を、須佐之男命には海原を治めるように言いました。この三柱の神は伊邪那岐命が生んだ子の中で最も貴いとされたことから三貴子と呼ます。
ところが須佐之男命は泣き叫び、海は荒れ、木々は枯れ、悪霊が充満して天地に甚大な被害を与えました。伊邪那岐命が問いただすと母神の伊邪那美命がいる根之堅洲国へ行きたいと言ったため、怒った伊邪那岐命は須佐之男命を追放しました。
その後伊邪那岐命は淡海の多賀に鎮座します。