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天孫降臨

記事Oct.30th, 2020
邇邇芸命が葦原中国へ降臨する話。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。

物語

五伴緒

建御雷之男神たけみかづちのおのかみ葦原中国あしはらのなかつくにを平定して高天原たかまがはらへ戻ると、天照大御神あまてらすおおみかみ高木神たかぎのかみ天照大御神あまてらすおおみかみの子の正勝吾勝勝速日天忍穂耳命まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみことに以前命じた通り葦原中国あしはらのなかつくにへ降りて治めるように命じました。ところが、正勝吾勝勝速日天忍穂耳命まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみことは降りる準備をしている間に息子の天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命あめにきしくににきしあまつひこひこほのににぎのみことが生まれたのでこの子を降ろすのが良いと言いました。

天忍穂耳命あめのおしほみみ高木神たかぎのかみの娘の萬幡豊秋津師比売命よろづはたとよあきつしひめのみことの間に生まれた子が天火明命あめのほあかりのみこと日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみことです。こうして日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみこと豊葦原水穂国とよあしはらみずほのくにへ降りて治めるように命じられました。

日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみことが降臨しようとしていると天の八衢あまのやちまた高天原たかまがはらから葦原中国あしはらなかつのくにまでを照らす神がいました。そこで天照大御神あまてらすおおみかみ高木神たかぎのかみ天宇受賣命あめのうずめのみことに、あなたはか弱い女だが気後れしない神なのでその神のところへ行き、日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみことが降臨する道にいるその神が誰なのかを尋ねるように命じました。するとその神は、名は猿田毘古神さるたひこのかみという国津神くにつかみであり、天津神あまつかみ御子みこが降臨すると聞いたので先導をしようと迎えに来たのだと答えました。

日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみことには天児屋命あめのこやねのみこと布刀玉命ふとだまのみこと天宇受賣命あめのうずめのみこと伊斯許理度売命いしこりどめのみこと玉祖命たまのおやのみこと五伴緒いつのとものおが随うことになりました。さらに、八尺瓊勾玉やさかにのまがたま、鏡と草那芸剣くさなぎのつるぎを授けられ、常世思兼神つねよのおもいかねのかみ手力男神あめのこやねのみこと天石門別神あめのいわとわけのかみも随うことになりました。最後に天照大御神あまてらすおおみかみは、この鏡を自分の御魂だと思って祀り、そして思兼神おもいかねのかみは祭祀と政務を行うように言いました。

この鏡は日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみこと思兼神おもいかねのかみにより佐久久斯侶伊須受能宮さくくしろいすずのみやで祀られ、外宮げくう度相わたらいには登由宇気神とようけのかみが祀られています。

天石門別神あめのいわとわけのかみ櫛石窓神くしいわまどのかみ豊石窓神とよいわまどのかみとも呼ばれる宮廷の門を守る神です。手力男神あめのこやねのみこと佐那那県さなながたに鎮座しています。天児屋命あめのこやねのみこと中臣連なかおみのむらじ布刀玉命ふとだまのみこと忌部首いみべのおびと天宇受賣命あめのうずめのみこと猿女君さるめのきみ伊斯許理度売命いしこりどめのみこと作鏡連かがみつくりのむらじ玉祖命たまのおやのみこと玉祖連たまのおやのむらじの祖神です。

天孫降臨

日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみこと天の石位あまのいわくらを離れ、天の八重多那雲あまのやえたなくもを勢いよくかき分けて天浮橋あめのうきはしから竺紫つくし日向ひむか高千穂たかちほ久士布流多気くしふるたけへ降臨しました。この時、天之石靫あめのいわゆきを背負い、頭椎大刀かぶつちのたち天之波士弓あめのはじゆみ天之真鹿児矢あめのまかごやを携えた天忍日命あめのおしひのみこと天津久米命あまつくめのみことが仕えて先導しました。

天忍日命あめのおしひのみこと大伴連おおとものむらじ天津久米命あまつくめのみこと久米直くめのあたいの祖神です。

日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみことは、この地は韓国からくにに向いていて、笠沙かささ御前みさきまでまっすぐ通じていて、朝日のよく射す国で、夕日のよく照る国であると言いました。そしてここはとても良い地であると言って、底津石根そこついわねに太い柱を立てて高天原たかまがはらまで届く氷椽ひぎをそびえさせた宮殿を建てて住むことにしました。

用語

登場する神様

天照大御神あまてらすおおみかみ
太陽の神。高天原の主宰神。
高木神たかぎのかみ
高御産巣日神たかみむすびのかみとも。天地開闢の初めに生まれた造化三神の一柱。創造の神。
正勝吾勝勝速日天忍穂耳命まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと
天忍穂耳命あめのおしほみみとも。天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた神の一柱。
日子番能邇邇芸命ひこほのににぎのみこと
天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命あめにきしくににきしあまつひこひこほのににぎのみこと邇邇芸命ににぎのみこととも。天忍穂耳命と萬幡豊秋津師比売命の子。
萬幡豊秋津師比売命よろづはたとよあきつしひめのみこと
天火明命と邇邇芸命の母。織物の神。
天火明命あめのほあかりのみこと
天忍穂耳命と萬幡豊秋津師比売命の子で邇邇芸命の兄。農業の神。
登由宇気神とようけのかみ
神生みで生まれた和久産巣日神の子。豊宇気毗売神とようけびめのかみとも。豊受大神宮に祀られる食物の神。

邇邇芸命に随った神

五伴緒
天児屋命あめのこやねのみこと
岩戸隠れの時に祝詞を唱えた。祝詞の神。
布刀玉命ふとだまのみこと
岩戸隠れの時に占いをした。占いの神。
天宇受賣命あめのうずめのみこと
岩戸隠れの時に舞い歌った。芸能の神。
伊斯許理度売命いしごりどめのみこと
岩戸隠れの時に八尺鏡を作った。鋳造の神。
玉祖命たまのおやのみこと
岩戸隠れの時に八尺瓊勾玉を作った。宝飾の神。
他の神
猿田毘古神さるたひこのかみ
邇邇芸命を迎えに来た国津神。道の神、旅人の神。天狗の原形とする説がある。
思金神おもいかねのかみ
常世思兼神つねよのおもいかねのかみとも。知恵の神。
手力男神てじからのお
岩戸隠れの時に天照大御神を天石屋から引っ張り出した。腕力の神。
天石門別神あめのいわとわけのかみ
櫛石窓神くしいわまどのかみ豊石窓神とよいわまどのかみとも。宮殿の門を守る神。
天忍日命あめのおしひのみこと
邇邇芸命を先導した神の一柱。
天津久米命あまつくめのみこと
邇邇芸命を先導した神の一柱。

登場する場所

葦原中国あしはらのなかつくに
高天原と黄泉国の間にある地上の世界。
高天原たかまがはら
神々が住む天上界。
天の八衢あまのやちまた
高天原と葦原中国の間にある数多くの道が分かれる所。
佐久久斯侶伊須受能宮さくくしろいすずのみや
五十鈴宮いすずのみや、すなわち皇大神宮のこととされる。
外宮げくう度相わたらい
度会わたらいにある外宮、すなわち豊受大神宮のこととされる。
佐那那県さなながた
三重県多気郡多気町の佐那神社がある地とされる。
天浮橋あめのうきはし
天上にある下界へ降りる途中にある橋。下界を見渡すことができる。
竺紫つくし日向ひむか高千穂たかちほ久士布流多気くしふるたけ
宮崎県と鹿児島県の県境にある高千穂峰や宮崎県西臼杵郡高千穂町に槵觸山くるふるやまなどが伝承地とされる。
韓国からくに
朝鮮半島のこととみられる。
笠沙かささ御前みさき
鹿児島県南さつま市の野間岬のまみさきのこととされる。

登場する道具

八尺瓊勾玉やさかにのまがたま
のちに三種の神器の一つとなる勾玉。
草那芸之大刀くさなぎのたち
草薙剣くさなぎのつるぎ天叢雲剣あめのむらくものつるぎとも。のちに三種の神器の一つとなる剣。
天之石靫あめのいわゆき
矢を入れる筒状の道具。
頭椎大刀かぶつちのたち
柄頭が塊状になっている大刀のこと。
天之波士弓あめのはじゆみ
神の弓の名前。
天之真鹿児矢あめのまかごや
神の矢の名前。

他の用語

天孫降臨てんそんこうりん
邇邇藝命が葦原中国に降りたこと。
豊葦原水穂国とよあしはらみずほのくに
葦原中国の美称。
国津神くにつかみ
葦原中国に生まれた神々。
天津神あまつかみ御子みこ
天津神の子。ここでは邇邇芸命のこと。
五伴緒いつのとものお
邇邇芸命の降臨に随った五柱の神。
中臣連なかおみのむらじ
朝廷の祭祀を司った豪族の中臣氏。藤原氏の祖となる中臣鎌足が有名。
忌部首いみべのおびと
朝廷の祭祀を司った豪族の忌部氏。
猿女君さるめのきみ
朝廷の祭祀を司った氏族の一つ。
作鏡連かがみつくりのむらじ
朝廷の祭祀を司った氏族の一つ。
玉祖連たまのおやのむらじ
朝廷の祭祀を司った氏族の一つ。
天の石位あめのいわくら
高天原の座る場所。
天の八重多那雲あめのやえたなくも
高天原の何重にもたなびく雲。
大伴連おおとものむらじ
朝廷の軍事を司った豪族の大伴氏。奈良時代には多数の公卿を輩出した。
久米直くめのあたい
豪族の久米氏。
底津石根そこついわね
地の底にある岩。
氷椽ひぎ
屋根に取り付けられるV字型の部材である千木ちぎのうち先端が横削ぎのもの。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。
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