山犬信仰と御眷属拝借
日本武尊が景行天皇に東征に遣わされた際、雁坂峠で霧で道に迷ってしまいました。この時山犬(狼)が現れて道案内を務め、たどり着いたのがこの三峰の地であったと言われています。この地にお宮を造営した日本武尊はその忠実さと勇猛さによって山犬を神の使い、眷属に定めました。それゆえ三峯神社の各所には狛犬の代わりに狼の像が見られます。
眷属は神に代わって神の意志を伝える存在であって神そのものでは場合も多いですが、山犬は大口真神(おおくちのまがみ)、もしくは御眷属様やお犬様と呼ばれ神として崇められています。山犬信仰が広まったのは江戸時代のことで、1720年に修験者日光法印が山上の庵室に静座しているとどことも知れず狼が群がってきて境内に充ちました。これを神託と感じて狼の神札を貸し出したところ霊験があったとされています。狼は山里では猪鹿除けとしての霊験が信じられていましたが、江戸へ広まると家々を守護する火防・盗賊除けの神として信じられるようになりました。やがてこの信仰は各地へ広まり、狼の護符を受けることが流行しました。
御眷属様は深い山中に身をひそめているとされているため、祀るための仮のお宮として境内の奥に遠宮(御仮屋)が設けられています。
狼の護符を受けることは御眷属拝借と呼ばれ、これは御眷属の狼を護符を受けることで“拝借”して家などで祀り、一家もしくは地域の守護を祈るものです。御眷属拝借は御祈祷の申し込みをする御祈願御代参受付で申し込みをし、拝殿での御祈祷に参加して受けることができます。初穂料は3000円、収めるための木箱、御眷属箱は2000円です。受けた狼の護符はその日から1年以内に必ず返さなければなりません。
『白』い『氣守』
関東最大のパワースポットとも言われている三峯神社は近年は毎月1日にのみ頒布される『白』い『氣守』で有名になっています。赤、青、緑などの他の色の氣守りは1日以外にも頒布されていますが、白の氣守りは1日にのみ頒布されています。古くから白は太陽の光の色と言われ、穢れを忌む祭儀の装束にも使われる神聖な純潔の色です。また、再生を意味する色でもあり、新しいスタートの色でもあることから月初めの朔日にのみ『白』い『氣守』は頒布されています。
2013年から頒布されている『白』い『氣守』ですが、有名なスポーツ選手が持っていてご利益があったと話題になったようで、頒布される毎月1日は大混雑します。『白』い『氣守』を受けるためには正参道入口の三ツ鳥居の前で配付されている頒布引換券が必要になります。頒布引換券を受け取った後は17時まで好きな時間に授与所で頒布を受けることができます。
『白』い『氣守』は一人一つのみ頒布を受けることができ、初穂料は2000円です。