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宗像三女神

記事May 25th, 2020
福岡県の宗像大社を総本宮として祀られる三柱の女神で、あらゆる道を導く神として信仰されています。
史料によって解釈が異なる場合があります。
史料によって解釈が異なる場合があります。

基本の情報

宗像三女神

宗像三女神むなかたさんじょしんは天照大御神と須佐之男命の誓約の時に誕生した三柱の神、多紀理毘売命、市寸島比売命、多岐都比売命の総称で、総本宮である福岡県の宗像大社や厳島神社をはじめとして全国6000以上の神社で祀られています。日本から大陸への交通の要衝に鎮座する玄界灘の神として古くから海上交通の守護神として信仰され、現在でもあらゆる道を導く神として厚く崇敬を受けています。

神話

天照大御神と須佐之男命の誓約

伊邪那岐命いざなぎのみことに追放された須佐之男命すさのおのみことは最後に姉の天照大御神あまてらすおおみかみに会ってから根之堅洲国ねのかたすくにへ行こうと思い、高天原たかまがはらへ昇ります。すると山や川が荒れ、大地が震えたので、天照大御神あまてらすおおみかみ須佐之男命すさのおのみこと高天原たかまがはらに侵攻してきたと思い、武装して迎えます。須佐之男命すさのおのみことは疑いを晴らすために誓約うけいをしようと提案しました。

まず、天照大御神あまてらすおおみかみ須佐之男命すさのおのみこと十拳剣とつかのつるぎ天真名井あめのまないの水ですすいで噛み砕いて吹き出します。するとその息の霧からは多紀理毘売命たぎりひめのみこと市寸島比売命いちきしまひめのみこと多岐都比売命たきつひめのみことの三柱の女神が生まれました。続いて、須佐之男命すさのおのみこと天照大御神あまてらすおおみかみが髪につけていた勾玉まがたま天真名井あめのまないの水ですすいで噛み砕いて吹き出すとその息の霧からは五柱の男神が生まれました。

須佐之男命すさのおのみことは自らの十拳剣とつかのつるぎから生まれたのが穏やかな女神だったことから潔白が証明され、自分の勝ちだと宣言し、高天原たかまがはらに入る許しを得ます。

玄海灘へ降臨

天照大御神あまてらすおおみかみ多紀理毘売命たぎりひめのみこと市寸島比売命いちきしまひめのみこと多岐都比売命たきつひめのみことの三柱に、あなたたち三神は道中みちなかに降臨して天孫あめみまを助け奉り、そして天孫あめみまに祀られるようにと神勅しんちょくを授けて降臨させました。

多紀理毘売命たぎりひめのみことは沖ノ島へ、市寸島比売命いちきしまひめのみことは筑前大島へ、多岐都比売命たきつひめのみことは宗像田島へとそれぞれ降り立ち、祀られるようになりました。三神が祀られた場所が現在の宗像大社となったとされています。

あれこれ

道主貴

荒海の玄界灘に祀られる宗像三女神は古来から航海安全の守護神として崇めらてきました。また、神功皇后が三韓征伐の際にこの地で航海の安全を祈り霊験があったと言われ、大陸との交通の要衝に祀られた三神は大和朝廷から重視されるようになります。

宗像三女神は“道主貴みちぬしのむち”とも称され、道を導く最も尊い神として篤い崇敬を受けました。“むち”とは最も高貴な神に贈られる尊称で他には伊勢神宮に祀られる天照大神の“大日靈貴おおひるめのむち”や出雲大社に祀られる大国主命の“大己貴おおなむち”だけに見られ、いかに篤い信仰が捧げられたかを垣間見ることができます。

のちに道路交通が発達すると交通安全の神様としても信仰されるようになり、今ではあらゆる道を導く神様として広く信仰されています。

宗像三女神と宗像氏

宗像三女神はもともとは宗像地方や玄界灘を支配していた宗像氏などの海洋豪族が古代から祀っていた土着神だったとされています。大和朝廷のある畿内から瀬戸内海を通り玄海灘から朝鮮半島を結ぶ海路は海北道中かいほくどうちゅうと呼ばれ、大陸との間の文化交流が盛んになるにつれてこの海路の途上にある宗像の地も重要性が増し、道中の安全を祈願する宗像三女神は4世紀ごろには古事記や日本書紀にも記される国家神として祀られるようになりました。

三女神の鎮座地

宗像三女神が生まれた順番とそれぞれの鎮座地は史料によって異なります。

古事記

誕生した順番 鎮座地
長女 多紀理毘売命 沖津宮
次女 市寸島比売命 中津宮
三女 多岐都比売命 辺津宮

日本書紀

本伝

日本書紀の本伝や宗像大社の社伝では以下のように記しており、現在の宗像大社でも以下のように鎮座しています。

誕生した順番 鎮座地
長女 田心姫神 沖津宮
次女 湍津姫神 中津宮
三女 市杵島姫神 辺津宮
一書

第六段の第一の一書では以下のように記しています。

誕生した順番
長女 瀛津嶋姫
次女 湍津姫
三女 田心姫

第六段の第二の一書では以下のように記しています。

誕生した順番 鎮座地
長女 市杵嶋姫命 遠瀛
次女 田心姫命 中瀛
三女 湍津姫命 海濱

第六段の第三の一書では以下のように記しています。

誕生した順番 鎮座地
長女 瀛津島姫命(市杵嶋姫命)
次女 湍津姫命
三女 田霧姫命

また、第三の一書では三神は現在の大分県宇佐市とされる“宇佐嶋うさしま”へ降臨してから海北道中へ遷座したとしています。

関連項目

祀る神社

以下は宗像三女神を主祭神として祀る主な神社です。

宗像大社
宗像三女神の総本宮。福岡県宗像市に鎮座。
辺津宮に市杵島姫神、中津宮に湍津姫神、沖津宮に田心姫神を祀る。
嚴島神社
広島県廿日市市に鎮座。
市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命を祀る。
石清水八幡宮
京都府八幡市に鎮座。
多紀理毘賣命、市寸島姫命、多岐津比賣命を比咩大神として祀る。
宇佐神宮
大分県宇佐市に鎮座。
多岐津姫命、市杵嶋姫命、多紀理姫命を比売大神として祀る。
田島神社
佐賀県唐津市に鎮座。
田心姫尊、市杵島姫尊、湍津姫尊を田島三神として祀る。
江島神社
神奈川県藤沢市に鎮座。
辺津宮に田寸津比賣命、中津宮に市寸島比賣命、奥津宮に多紀理比賣命を江島大神として祀る。

宗像三女神は古くから各地に分霊が祀られ、全国の宗像神社、厳島神社など6000社以上の神社で祀られています。

関係する神様

天照大御神
宗像三女神は天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた。
須佐之男命
宗像三女神は天照大御神と須佐之男命の誓約で生まれた。
史料によって解釈が異なる場合があります。
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