夕方になり、大猷院を拝観して帰路につきます。
大猷院は現在は輪王寺の一部となっている江戸幕府3代将軍徳川家光の墓所です。死後も敬愛する祖父家康の近くに仕えたいという家光の思いから東照宮に隣接するこの場所に造営されました。家康の墓所である東照宮を超えてはならないという遺言により豪華絢爛な東照宮とは対照的に金と黒を使用し重厚で落ち着いた造りになっています。とはいえ、彫刻や壁画、張られている金箔は東照宮よりも優れたものが使用されており、建築や加工の技術が進歩を垣間見ることができます。本殿は“金閣殿”とも呼ばれる日本有数の黄金建築であり、東照宮と比べると知名度が低いものの多くの見どころがあります。
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二荒山神社から出て右へ進んでいくと大猷院があります。
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閉門間近のせいかほとんど人影はありません。三仏堂で購入したセット券を入り口で提示し、大猷院へ入ります。
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最初の門は仁王門です。
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仁王門の中には口を開いた仁王像が安置されています。
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仁王門から見た境内。
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仁王門の横には宝庫があり、その横には徳川家光の長男で4代将軍家綱によって植えられたと伝わる槇の木があります。
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石段の上には二番目の門である二天門が見えてきました。
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二天門の前には水盤舎があります。12本の御影石の柱で支えられたこの水盤舎は波や三つ葉葵紋の彫刻で彩られています。
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水盤にそそぐ水は水盤舎の背後にある岩場から流れてきています。
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水盤舎の天井には狩野安信による龍の絵が描かれています。この龍が水盤に映り「鏡の龍」と呼ばれていますが、今では薄くなっているのではっきりと映らなくなってしまっています。
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石段を上がっていきます。
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石段の横にはたくさんの石灯籠が並びます。これらの石灯籠は大名から献上されたものです。
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二天門は6年の歳月をかけた補修工事を終えて5月に公開されたばかりです。白色が基調の東照宮の陽明門とは対照的な朱色が特徴的です。扁額にある「大猷院」の字は後水尾天皇の筆によるものです。
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「持国天」と「広目天」の2天を安置していることから二天門と呼ばれます。こちらが東を守護する「持国天」です。
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こちらが西を守護する「広目天」です。
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二天門をくぐるとさらに石段が続きます。
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石段の途中には「展望所」と呼ばれる場所があり、眼下に先ほど見えた立ち並ぶ石灯籠が見えます。この眺めは天上界から下界を見下した風景を想像させると言われています。
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石段の上には釣り鐘を収める鐘楼と太鼓を収める鼓楼が左右対称に建っています。こちらは左側にある鼓楼です。
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三番目の門である夜叉門です。牡丹の花が彫刻で装飾されているので「牡丹門」とも呼ばれます。
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「阿跋摩羅」「毘陀羅」「烏摩勒伽」「犍陀羅」の4体の夜叉が安置されていることから夜叉門と呼ばれます。正面の左が「毘陀羅」、右が「阿跋摩羅」です。
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背面の左が「烏摩勒伽」、右が「犍陀羅」です。
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夜叉門をくぐると唐門があります。唐門は大猷院の中心である拝殿と本殿への入り口です。
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唐門は大猷院の中では一番小さい門ですが、繊細な彫刻が施され気品ある造りになっています。
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唐門をくぐるとすぐに拝殿があります。金彩で覆われ、「金閣殿」とも呼ばれています。東照宮と似た作りですが中に入ると仏具である天蓋などが見られ、寺であることがわかります。
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拝殿の奥にある本殿。拝殿と本殿は間にある相の間でつながり一体化した権現造になっています。
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本殿の横には奥の院への入り口となる皇嘉門があります。明朝様式の竜宮造りで大猷院の他の門とは違う独特の雰囲気で、「竜宮門」とも呼ばれます。
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皇嘉門の先にある奥の院は徳川家光の墓所です。その内部は非公開です。
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本殿の横を戻っていきます。
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大猷院の各所や東照宮の境内にもあるこの亀の甲羅のような石は「兜石」や「亀石」と呼ばれるものでその下には祭礼の時などに旗を立てるための穴が開いていて蓋になっています。
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夜叉門まで戻ってきました。
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石段を下りていきます。下に見えるのは二天門です。
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静かな時が流れます。
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二天門から見た仁王門。
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仁王門をふたたびくぐっていきます。
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入口で最初に預けていた御朱印帳を受け取ります。大猷院でいただける御朱印です。
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閉門時間となった大猷院を後にします。
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大猷院の前には宝冠五智阿弥陀如来像を本尊とする輪王寺常行堂があります。
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ふたたび二荒山神社の前を通り、帰路につきます。
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二荒山神社の前から続く西参道の坂道は「良い縁坂」と名前が付けられています。
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「良い縁坂」を下っていきます。
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二荒山神社を振り返ります。
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「良い縁坂」のふもと。
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レストランなどが並ぶ参道。
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お土産屋が並んでいますが夕方でほとんどのお店が営業を終えて人気がありません。
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東照宮の前を横切ります。
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東照宮もすでに拝観時間が終わっていて参道も人がまばらです。
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三仏堂へ通じる黒門。
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参道をそのまま進んでいくとまた門があります。輪王寺の御霊殿に通じる門ですが通常は開けられることはないそうです。
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輪王寺を通り過ぎ、来た時とは違う坂を下りていきます。道の半分が舗装されていないのは例大祭の時に神馬が通るためです。
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こちらは東照宮御旅所です。御旅所は神輿が休憩したり宿泊したりする場所のことで、例大祭の時には神輿がここまで来ます。
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少し進んでいくと先へ進むと本宮神社が見えてきます。
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本宮神社は二荒山神社の別宮です。もともとはこの場所に二荒山神社があり大己貴命を祀っていましたが、二荒山神社が移転した後にこの地に新たに味耜高彦根命が祀られました。808年創建です。
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本宮神社の境内にあるこの石は勝道上人が笈を立て掛けて休息したと伝えられる「笈掛石」です。笈は修験者が修行に必要なものを納めて背負う箱のことです。
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本宮神社の拝殿と本殿。現在の社殿は1684年に大火で焼失した後、翌1685年に再建されたものです。
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本宮神社の裏手には三重塔があり、こちらは四本龍寺です。四本龍寺は勝道上人により最初に開かれた地とされ、日光山の発祥地と言われています。
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四本龍寺にあるこの石は、勝道上人が祈りをささげていると四本の紫の雲が立ちのぼり、男体山の方へたなびいたと伝えられることから紫雲石と呼ばれています。勝道上人はこの地が天を司る青龍、朱雀、白虎、玄武の四つの宿星が守護する霊地である悟り、紫雲立寺を建立し、のちに四本龍寺となりました。背後にある観音堂は807年に千手観音を祀るお堂として建立されました。
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観音堂と三重塔の間には不動明王が祀られています。
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本宮神社を後にします。
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鳥居をくぐり、左側にある石段を下ります。
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夕方の日光山内。
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神橋も拝観時間が終了して人影がありません。
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来た道を戻っていきます。
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そのまま進んでいくと日光杉並木があります。徳川家康の33回忌に合わせて参道並木として東照宮に寄進されたもので、日光へ参詣する諸大名が利用する日光街道、日光例幣使街道、会津西街道のうちの合計約35㎞にわたって約12500本の杉が植樹されました。世界最長の並木道としてギネスブックに登録されています。
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東武日光駅から数分歩いたところにあるJRの日光駅。ネオルネサンス様式の駅舎は1912年に完成しました。現在は日光へのメインルートは東武日光線になってしまいましたが、かつては当時は国鉄だったJR日光線へも東京からの直通列車が運行されて熾烈な乗客獲得競争が繰り広げられました。
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2階はもともと一等車の乗客用の待合室でしたが現在はギャラリーとして公開されています。また、1階にはイベント時にしか公開されませんが現存する数少ない貴賓室もあり、往時の賑わいが偲ばれます。
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日光駅の駅舎内。帰路へつきます。
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