鳥居について
“鳥居”とは?
“鳥居”は神域の内外を隔て、不浄なものが神域に入るのを防ぐ結界の役割を持つ一種の門です。
鳥居の起源については、古事記にある岩戸隠れの神話で天照大御神を天石屋から誘い出すために常世長鳴鳥を鳴かせたことにちなんで神前に鶏の止まり木を置いたことに由来したとする説や海外起源説などがありますが、はっきりとしたことはわかっていません。しかし、いずれにせよ奈良時代頃までに現在の形が確立したとみられています。
語源についても諸説あり、鶏の止まり木を意味するという説や、「通り入る」から転じたとする説などがあります。
一般的に鳥居は神社を象徴するものとみなされ、ほとんどの神社で見かけられますが、鳥居がない神社もあります。他に鳥居は天皇陵にも建てられ、まれに仏教寺院に鳥居がある場合もあります。
多く鳥居は境内の入口から本殿までを結ぶ参道上に建てられます。しかし、境内が縮小されたり、神社が移転したことによって神社から離れた場所に鳥居があることも珍しくありません。特に大規模な神社では過去に社領が広範囲に及んでいたことも多く、神社から遠く離れた場所に鳥居があることがあります。また、山や岩など、信仰の対象となる自然物の前に建てられることもあります。
大きな神社では参道上に複数の鳥居があることが多く、一般的に本殿から一番遠い鳥居から数えてそれぞれの鳥居を“一の鳥居”、“二の鳥居”、“三の鳥居”などと呼びます。また、神社によっては鳥居に固有の名前が付けられている場合もあります。
鳥居は氏子などの個人や何らかの団体による寄進で建てられることも多く、その場合には柱に寄進者の名前が記されています。
鳥居の通り方
鳥居は神域への入り口なので鳥居をくぐる時は一度足を止めて一礼するのが良いとされます。神域から出る時も鳥居をくぐった後に振り返って一礼します。この時の礼は“一揖”と呼ばれる浅いお辞儀です。また、鳥居をくぐる際には左右どちらかに寄り、参道の外側に近い方の足から踏み入るのが良いとされます。
鳥居の構造
鳥居の部位
鳥居の上部は柱の頂部に渡された笠木と島木の2層になった横材からなります。明神鳥居は笠木の両端が反り上がっていて、この反りを反増と言います。なお、神明鳥居は島木がなく、笠木のみです。柱と島木の間に台輪という保護材がある場合もあります。
笠木と島木の下にあり、柱の間に渡された横材を貫と呼びます。貫と柱の交差する部分には楔が打ち込んでいる場合があります。貫は柱を貫いている場合もあり、突き抜けた部分を木鼻と呼びます。
島木と貫の間を繋ぐ垂直材は額束と呼びます。額束がある部分には神社名などが記された神額が掲げられていることがあります。
柱が地面に直接触れていると傷んでしまうため、柱は台石の上に建てられていることが多いです。丸みを帯びているものはその見た目から亀腹や饅頭と呼ばれます。
また、柱の根元には藁座、もしくは根巻と呼ばれる保護材が巻いてあることがあります。